経理の未来はどう変わる?BPO導入とDX化で業務効率化を実現

経理部門では、慢性的な人手不足やペーパーレス化の遅れ、業務の属人化など、さまざまな課題があります。専門職であるため業務が属人化しやすかったり、会社ごとに長年培われてきたルールが複雑化して業務改善が困難になっているケースもあります。
そのため、経理業務の課題解決策として、BPOやRPAの導入を検討する企業も増えています。この記事では、経理部門が抱える課題を、DXやBPO導入によってどのように解決できるのかを詳しくご紹介します。
1.経理業務の抱える課題

経理部門が抱えやすい主な課題は大きく分けて次の3つです。
・業務が属人化しやすく、持続可能な運用が困難になっている
・作業量や心理的なストレスが大きく、担当者の負担が大きくなりがち
・デジタル化の遅れにより業務効率が低くなっている
■属人化しやすい業務
一般的に経理業務は担当者に属人化しやすいと言われています。簿記や税務関係をはじめとする専門的な知識が必要なため、社内でも対応できる人材が限られているからです。
業務の属人化は、担当者が不在の場合に対応の仕方がわからなかったり、退職の際の引継ぎが困難になるリスクがあります。また業務内容が不透明になることで不正のリスクにもつながります。業務を標準化し、社内で情報を共有する仕組みを作ることが大切です。
■作業量の多さ
経理は一般的に担当者の作業量が多く過重労働になることもあります。
多くの企業が直接売り上げに結び付く部門にリソースを割こうとするため、経理や人事などの間接部門の部署は必要最低限の人員で運用しようとすることもその理由の一つです。そのため、繁忙期には経理担当者への業務負担が大きくなり、オーバーワークになりがちです。
また会社のお金を扱うミスが許されない業務であることや、企業の経営判断に必要とされるような決算資料の作成なども含まれるため、心理的な負担も大きくなります。結果として、作業が遅れてしまうこともあり、経営判断の遅れにつながるリスクもあります。
■DX化の遅れ
経理部門では現在でも請求書や納品書、伝票などを紙でやりとりしている企業も多く、これらはデジタルデータよりも管理に手間がかかってしまいます。
この結果からも多くの企業で経理業務のデジタル化が進んでいないことがわかります。
DX化が進まない原因としては、各企業の経理部門でそれぞれ既存のルールがあることが考えられます。専門性が高い分野であるため企業ごとに詳細に定めたルールがあり、複雑な業務フローの改善がなかなか進まないことが課題となっているようです。
2.経理業務の効率化に向けて

経理業務の課題を解決し、効率化を進めるためにはいくつかのプロセスが必要です。
■業務フローの見直しと標準化
経理業務を効率化するためには、始めに業務フローの確認が必須です。
それぞれの業務を実施する時期、担当者、かかる時間などを見える化することで、何が課題となっているのか、属人化している部分はあるかなどが明らかになるからです。
経理業務の内容の把握には、日次・月次・年次ごとに業務フローに落とし込む必要があります。まず大きく業務内容を把握したうえで詳細なタスクまで洗い出し、効率化できる業務をチェックします。
業務フローを作成するだけでも業務を標準化し、属人化を解消したり、作業効率が良くなる効果が期待できます。
■経理・会計システムの導入と活用
経理システムの導入により、日々の経理業務を効率化できます。
これまで請求書作成、支払いや入金の管理などの経理業務を手作業で行っていた場合、システム導入により大幅に業務負担を減らすことができます。
また、経理システムの導入に加えて、仕分業務や決算書類の作成などを自動化する会計システムにより、企業の会計業務全般を効率化することが可能です。
■RPAの導入
業務効率化のツールとして現在、注目されているのがRPAです。
RPA (Robotic Process Automation)とは、パソコンを使う作業を自動化するソフトウェアロボット技術で、定型業務の自動化することが可能です。
RPA導入により、作業手順を記録して再現することができ、定型業務の多い経理業務を正確に処理することが可能となります。
3.DX推進により自動化される経理業務

DX化の遅れが指摘される経理業務ですが、DX化を進めることで単純作業を自動化し、経理担当者の負担を軽減することが可能です。
■日本国内のDXの現状
日本国内全体で見ると企業のDX化の取り組みは徐々に進んでいるようです。
2022年度調査によると、全社としてまたは一部の部門で個別にDXに取り組んでいる企業は2021年の55.8%から73.7%に増加しており、DXが企業に浸透してきていることがわかります。
また、DXの取り組みの「成果が出ている」と回答した企業は2022年度の58.0%から 2023 年度は 64.3%に増加。特に「アナログデータのデジタル化」や「業務の効率化による生産性の向上」においては、成果が出ている割合が高くなっているようです。
(参照:DX動向2024:独立行政法人 情報処理推進機構調査
https://www.ipa.go.jp/digital/chousa/dx-trend/eid2eo0000002cs5-att/dx-trend-2024.pdf )
各企業においてDX化の流れは加速しており、今後は導入される分野も増えていくことが予想されます。
■DXを進めるメリット
経理部門でのDXを進めるメリットとしては、業務効率化だけでなく属人化を解消し、業務を可視化することによりガバナンスを強化することなどもあげられます。
さらに、デジタル化によりリモートワークなどフレキシブルな勤務形態が可能になることで、働き方の多様化、ワークライフバンスの改善につながることも期待できます。
■RPAで自動化できる業務
DX推進の有効な施策の1つであるRPAでは、具体的には次のような経理業務を自動化することが可能です。
・データ照合・消込作業
経理業務では、帳簿と入出金のデータなど照合作業が多く発生します。RPAにより、これらの業務を自動化し、人的ミスを削減することができます。
・会計データの集計
月末に業務が集中するデータ集計・加工作業もRPAによって自動化が可能です。
・システム間の連携作業
社内の経理システムから他のソフトウェアへの連携もRPAで自動化できる作業です。
その他、データ入力やメール配信など、これまで手作業で行っていた日々のルーティン業務もRPAにより大幅に負担を軽減することができます。
4.経理業務のRPA効果的な進め方

経理業務のRPAの進め方としては、まず業務フローの見直しが必要です。
業務内容を見直したうえで、どの業務をRPAで自動化するかを選定します。自動化する業務が決まったら、RPAツールの選定に入ります。
RPAの導入に当たっては、いきなりすべての業務を自動化するのではなく、取り組みやすい業務から徐々に進めていくのがポイントです。
また、導入後はツールを使いこなすための従業員の教育も必要になります。
RPA導入の詳細については、こちらのサービスもご参照ください。
▼ゼロからはじめるRPA
5.RPAは経理を不要にするのか

RPA導入により、定型業務が自動化されるとこれまで手作業で人が行っていた業務は減っていくことが予想されます。
それでは今後、経理担当者の仕事はなくなってしまうのでしょうか。
経理に限らず、RPAやAIによって仕事がなくなってしまうのではと危惧する声が多く聞かれます。
結論としては、経理業務の中でもなくなる業務とこれからも人が行う必要がある業務があります。
■自動化でなくなる業務
一般的にRPAでの自動化が向いている業務は次のような業務です。
・定型化された業務
・大量のデータ集計処理、分析
・複数のソフトウェアを連携して行う処理
経理業務でRPA活用の事例としては次のような業務があります。
・伝票のデータ入力・仕分け
・売上データの突合業務
・請求書処理業務
・入出金管理表の作成
・帳票書類の作成
作業負担の大きいデータ入力や照合作業などを自動化することにより、経理担当者の負担を大きく軽減することができます。
■今後もなくならない経理業務
一方で今後も人の対応が必要な業務、つまりRPAでの自動化に向いていない業務もあります。
・人の判断が必要な業務
・イレギュラー対応が多い業務
・頻繁にルールや仕様が変わる業務
・パソコンで完結できない業務
こういった業務はRPAで自動化することは難しく、今後も人が行っていく必要があります。
経理業務の中では以下のような業務がそれに当たります。
・業務の結果の最終確認
・企業によっては個別判断が必要となる税務関連の仕事
・集計データに基づいた財務面の戦略立案や意思決定
・システムの管理・メンテナンス
このように、経理の仕事の中にはイレギュラーな対応や人の判断が必要な業務も多いため、専門知識を持った経理担当者は今後も必要とされるでしょう。
DX化でルーティンワークを自動化することによって経理の仕事がなくなるのではなく、経理担当者は分析や戦略の立案などより高いレベルの業務を行うことができるようになります。
6.BPO導入によるメリット

RPAと並んで業務効率化や人手不足解消のためのソリューションとして注目されているのがBPO(Business Process Outsourcing)です。
BPOでは、経理業務を長期的に一括して外部に委託することが可能です。
人手不足が深刻化する中で、経理担当者の採用は特に難しいと言われています。経理には専門知識や実務経験が求められるからです。
経理担当者の慢性的な採用難に悩む企業にとって、BPOは人手不足を解消し、BPO事業者が提供する専門的で質の高い業務が担保されるのもメリットです。さらに、人材の採用や教育のためのコスト、リソースも軽減できます。
またBPOは業務の一部を一時的に委託するアウトソーシングとは異なり、業務改善のためのプロセスの見直しや課題解決を支援する点が特徴です。企業に合わせた業務改善を行いながら、効率的に外部に委託することが可能です。
また、BPO導入の際には、業務効率化のためのRPAを合わせて検討することもおすすめです。BPOとRPAの組み合わせにより、さらに業務効率化の効果を高めることが可能となるからです。
経理担当者はルーティンワークから解放され、経営戦略やキャッシュフローの管理などに集中できるようになります。
7. まとめ
経理業務の効率化には、業務フローを丁寧に見直し、適切にDX化を進めることが必要です。RPAやBPO導入により、経理部門が抱える課題を解決し、最適化しながら効率化することが可能となります。
コウシンの「ゼロからはじめるBPO」は、パッケージ型のアウトソーシングとは異なり、丁寧なヒアリングを行い、それぞれのお客様の業務課題に合わせた支援を行います。
また、RPAの事業も行っているため、お客様のお悩みや課題に合わせてBPOとRPAによるソリューションをご提案いたします。
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JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)

一般人材派遣業:労働大臣許可 派13-01-0526
人材紹介業:労働大臣許可 13-ュ-010435

経済産業省認定番号:第37号‐24020002
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