給与計算をアウトソーシングして業務効率化!メリット・デメリットとBPO活用のすすめ

近年、給与計算業務を外部にアウトソーシングする企業が増えています。人手不足の解消やコストの削減などさまざまなメリットがある一方でデメリットも存在します。
また、より包括的な業務委託の手法である「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という選択肢も注目されています。
本記事では給与計算のアウトソーシングが増えている理由とメリット、デメリット、BPOとの違いについても解説します。
1.給与計算をアウトソーシングする企業が増えている理由

近年、給与計算をアウトソーシングする企業は増加しています。
ある調査によると、250社中38%の企業が給与計算代行を利用しており、従業員50名以下の企業では50%が給与計算を外注しているなど、中小企業を中心にさまざまな企業で給与計算のアウトソーシングが進んでいます。
給与計算のアウトソーシングが増えている最大の理由は、事務業務の負担を軽減することで、従業員が企業の本来のコア業務に集中できるようになることです。そのほかには、人手不足などの理由も考えられます。
■時期による業務量の差と人材確保の難しさ
給与計算はその業務の特性上、給与の締め日や支払日などに業務が集中する傾向があります。
しかし繁忙期だけ人員を確保することは難しく、特に中小企業では給与計算担当者を増やしすぎても人件費がかさんでしまうため、少人数または一人で給与計算を担当していることも少なくありません。
また、給与計算の担当者は関連する税関連の法改正にもその都度対応する必要があり、対応に手間がかかります。
つまり、給与計算には人材確保の難しさや繁忙期に一人の担当者に負担がかかってしまうなどの課題があり、アウトソーシングがその課題解決の手段として期待されています。
2.給与計算アウトソーシングのメリット・デメリット

給与計算のアウトソーシングには企業の課題を解決するさまざまなメリットがある一方、デメリットも存在します。
■給与計算アウトソーシングのメリット
・コストの削減
給与計算をアウトソーシングすることにより、繁忙期でもその都度人材を増やす必要がなくなり、採用や教育にかかる費用も削減できる点はメリットのひとつです。
・繁忙期の人員確保
給与計算業務は年末調整の時期などの繁忙期があるため、季節的な業務量の変化が発生する業務です。給与計算をアウトソーシングすることで、時期による人員の増減にスムーズに対応することが可能となります。
・従業員がコア業務に集中できる
給与計算は正確さと専門的な知識が求められ、負荷のかかる業務です。給与計算をアウトソーシングすることで、担当者が給与計算の仕事から解放され、企業の本来のコア業務に集中することができるようになることが最も大きなメリットです。
・属人化の防止
給与計算は特定の担当者に業務が集中しがちです。給与計算では煩雑な計算が多く含まれるうえ、従業員の多様な働き方に合わせた個別の対応が求められる特殊な業務だからです。結果として担当者が突然休職したり、退職したりした場合に作業がストップしてしまうリスクがあります。
給与計算をアウトソーシングすることでこうしたリスクを解決することができます。
■給与計算アウトソーシングのデメリット
・自社にノウハウが蓄積できない
給与計算をアウトソーシングすることにより、その部門のノウハウが社内に蓄積できないというデメリットがあります。社員から給与のことで問合せがあった場合にも対応できるように、外注後もアウトソーシング先の企業との連携は必要です。
・情報漏えいのリスク
給与計算は社員の個人情報を扱うため、それを外部に委託することは情報漏えいのリスクを伴います。そうしたリスクがあることを認識した上でアウトソーシング先での情報の取り扱いについて、安全性を確認しておくことが重要です。
3.アウトソーシングできる業務の具体例

それでは具体的に給与計算のアウトソーシングでどんな業務が委託できるかについて解説します。
■給与・賞与計算
勤務時間・残業時間を集計し、毎月の給与計算を行うメインの業務です。源泉徴収額や社会保険料の計算も含まれます。
■年末調整
控除書類の送付や、申告書の内容のチェック、源泉徴収票や支払報告書の作成などの業務です。従業員の問い合わせ対応も含まれることがあります。年末年始限定の業務のため、年末調整だけをアウトソーシングするケースもあります。
このほか、住民税納付の代行、給与振り込み、給与明細の発行などの作業をオプションとして委託可能なケースもあります。
4.給与計算アウトソーシングの料金相場

それでは給与計算をアウトソーシングした場合の一般的な料金体系と相場についてご説明します。
給与計算のアウトソーシングには、多くの場合、導入費用と利用期間中のランニングコストがかかります。利用期間中の料金は、基本料金+委託元企業の従業員一人当たりの月額制が多いです。
・導入費用
給与計算アウトソーシング導入にかかる費用は、システム構築の費用、データ移行費用などがあります。具体的には、サーバーやソフトウェアの導入、カスタマイズ費用、データ抽出や変換、入力にかかる費用などです。また、システム以外に給与計算業務のみを外注する場合でも、引継ぎや業務フローの構築などの運用体制の構築にも費用がかかります。
・給与計算代行費用
アウトソーシングで外注先での運用開始後は、給与計算代行の料金のほか、従業員からの問い合わせ対応などの費用が別途かかることもあります。
■料金の相場
従量課金制の場合、料金は企業の規模、つまり従業員の人数によって異なります。
例えば従業員100名規模の企業の給与計算の場合の例をご紹介します。
<給与計算アウトソーシング料金一例>
・給与計算 850円(一人あたり)×100名
・基本料金 80,000円~
この場合、月額にかかる費用は16万円前後となります。
このほか、関連する業務をセットにした定額制や、基本業務とオプション別料金などの課金方法もあります。
小規模ビジネス向けのプランを提供しているサービスなどもあるため、自社の企業規模に合わせて適切な外注企業を選ぶこともできます。
また、まず自社の現状の業務負担やフローを洗い出し、必要最低限の業務のみを外注することでもコストをおさえられます。
5.アウトソーシングだけでは根本的な業務改善にはならない?給与計算にBPOを導入するメリットとは

「アウトソーシング」と似たサービスでBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)というサービスもあります。
この2つはどちらも社内の業務を外部に委託するという意味で似ていると思われがちですが、実は明確な違いがあります。
アウトソーシングは、企業の特定の業務の一部のフローを代行するサービスで、基本的には委託元の企業がどの業務を代行してもらうべきか、自社で洗い出す必要があります。
一方、BPOでは、広い範囲の業務を外部に委託することが可能です。また、業務プロセスの見直しや最適化など、委託する前のプロセスも合わせて委託することができるため、業務全体の改善や効率化、さらにはコスト削減にもつながります。
BPOでは自社で運用する部分とBPOを活用する部分の切り分けの検討から委託できるため、自社内での対応が困難な場合にも適しています
6.まとめ:まずは部分的なスタートがおすすめ

給与計算をアウトソーシングする企業は増えており、繁忙期の人員確保やコスト削減、従業員がコア業務に集中できるなど、さまざまなメリットがあります。
まずは一部業務の外注からスタートし、自社に合った形で活用していくことが、スムーズな業務効率化への第一歩となります。
また、根本的な業務プロセスの見直しを行いたい場合は、BPOの導入も視野に入れることで、より高い効果を得られる可能性があります。
JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)

一般人材派遣業:労働大臣許可 派13-01-0526
人材紹介業:労働大臣許可 13-ュ-010435

経済産業省認定番号:第37号‐24020002
コウシンの「ゼロから始めるBPO」が、あなたの会社の生産性向上を支援します!