経理を外注する前に知っておきたいこと|費用・メリット・税理士との違いからBPOの選択肢まで解説

経理担当者の人手不足や業務負担に悩む企業が増える中、自社の経理業務の外注化に関心を持つ企業が増えています。経理部門の人手不足は企業経営にも大きな影響を与えるため、外部リソースの活用が求められているのです。
本記事では経理の外注の種類やメリット・デメリット、コスト、税理士との違い、経理業務のBPOの活用方法までわかりやすく解説します。
1.経理の外注とは?アウトソーシング・代行・BPOの違い

「経理の外注」と一言に言っても「アウトソーシング」「経理代行」「BPO」とさまざまな形態があり、具体的にどう違うのか、どれが自社にあっているのか悩む担当者も多いかもしれません。
「アウトソーシング」「代行」「BPO」はどれも業務を外部に委託する形態ですが、厳密には意味が違います。
アウトソーシングは、主に特定の一部の業務を一時的に外部に委託することを指します。業務代行も同じような意味で使われますが、スポット的な依頼や特定の作業のみを委託するケースが多く見られます。例えば「資料作成の代行」のように、手が回らない時にスポットで依頼するようなケースです。
「BPO」でも、同じく業務を外部に委託しますが、そのまま外注するのではなく、業務の改善や効率化を含めて委託する点が異なります。BPOでは企業の成長につながる定型業務の見直しと業務改善を行う点が大きな特徴です。
2.経理業務を外注するメリット・デメリットとは?よくある疑問をQ&Aで解説

経理業務の外注にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
ここでは経理外注のメリット、デメリットをよりわかりやすくするためによくある質問をまとめてみました。
Q1. 経理業務を外注することで、本当に業務効率は上がるのでしょうか?
A. はい、多くの企業で業務効率化が実現しています。経理を外部に任せることで、従業員は煩雑な帳簿管理や月次処理などの業務から解放され、本来注力すべきコア業務に集中できます。特に経営者自身や他部門が経理も兼務している中小企業では、業務負担の軽減とパフォーマンス向上につながるケースが多いです。
Q2. 経理担当者がなかなか採用できません。外注はその代わりになりますか?
A. 経理人材の採用・育成の手間を減らすうえで、外注は有効な手段です。経理職は専門知識が必要で求人市場でも即戦力となる人材を採用するのが困難な職種です。外注を活用すれば、専門的な知識を持つ事業者に経理を任せることができ、採用や教育にかかるコストや時間を削減できます。
Q3. コスト面で、外注と社員雇用はどちらが有利ですか?
A. 経理業務のボリュームや内容によりますが、外注の方がコストを抑えられる場合もあります。例えば、常時雇用する正社員と比べると、必要な範囲だけ依頼できる分、外注の方がコストパフォーマンスが良いことも。繁忙期だけ利用するなど、柔軟な契約ができるのも外注の強みです。
Q4. 経理をプロに任せると、どんな品質向上が期待できますか?
A. 経理の専門家ならではの正確性・スピード・法対応力が得られます。税制や労務に精通した外注先を選べば、ミスやトラブルの予防だけでなく、節税や制度活用などの提案も期待できます。
Q5. 外注に任せすぎると、社内にノウハウが残らなくなるのでは?
A. そのリスクはありますが、回避する方法もあります。たとえば、定期的に業務内容や運用マニュアルを共有してもらうことで、社内に一定の理解を持たせることができます。また、単に業務を委託するだけでなく、アドバイザー的に寄り添ってくれる外注先を選ぶのも重要です。
Q6. セキュリティ面が心配です。社外に情報を渡して大丈夫ですか?
A. 外注先の選定を慎重に行えば、リスクは最小限に抑えられます。個人情報保護法では、委託先の監督責任が発注側にも課せられています。Pマーク(※1)やISMS認証(※2)を取得している事業者を選ぶことで、情報漏えいのリスクを抑えることができます。
※1 プライバシーマーク(Pマーク):「個人情報を適切に管理している」と評価された事業者が使用できるマーク
※2 ISMS認証:組織の情報セキュリティ全般を管理するための仕組み。認証機関へ審査を申請してISMS認証を取得することにより、Pマークより幅広い範囲で、十分なセキュリティ管理を行えることが証明できます。
Q7. 外注すると結局コストが高くなるのでは?
A. 自社の体制や業務量によっては割高に感じることもあります。たとえば、これまでパートや兼務で済ませていた場合は、外注の方が費用がかかる場合もあります。ただし、人的コストの削減や業務ミスの防止、法改正対応などの間接的なメリットも含めて総合的に判断することが大切です。
Q8. 結局、外注すべきかどうかの判断基準は?
A. 自社の経理体制に課題があり、経理に時間や人手を取られているなら、外注の検討価値は十分あります。特に「経理の属人化を解消したい」「正確な処理を任せたい」「業務効率を上げたい」といったニーズがあるなら、外注によって状況が大きく改善される可能性があります。
3.気になる費用は?経理外注の相場と料金体系

経理を外注した場合、具体的にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。代行、アウトソーシング、BPOそれぞれの一般的な費用の例を紹介します。
■月額制・従量制などの料金体系
経理の外注にかかる一般的な費用の額の一例です。毎月、同額の費用がかかる月額固定制、業務量に応じて費用が決められる従量制、その両方を組み合わせたハイブリッド制などがあります。
料金体系 | 料金例 | |
経理代行 | 1件あたりの単価ベース | 例)・記帳代行:1,000円前後・振込・支払い:1,000円前後など |
経理アウトソーシング | 月額固定や従量制 | 月額5万円〜20万円程度※委託する内容や規模によって異なる |
経理BPO | 月額固定や従量制、ハイブリッド制 | 約40万円程度※委託する内容や規模によって異なる |
自社の業務内容や業務量に合った料金体系かどうか、追加の費用が発生しないかも確認する必要があります。自社の業務に合わない料金体系や、想定外の費用が追加されたりした場合、自社内で運用するよりもコストがかかってしまう可能性があるからです。
例えば繁忙期とそれ以外で業務量に差がない場合には月額固定制、コスト管理を徹底したい場合は従量制など、自社に合ったサービスを選択することでコスト削減につながります。
4.税理士事務所に外注する場合

経理業務を外注する場合、アウトソーシング会社やBPO事業者だけでなく税理士事務所に外注するケースもあります。
■税理士事務所の経理代行サービス
税理士事務所では「記帳代行」と呼ばれるサービスを提供しています。
「記帳代行」では領収書や振込明細などの取引内容を記帳に入力、帳簿の作成まで一貫して行います。税務調査の透明性を高めるために、事業規模を問わず記帳と帳簿保存が義務付けられています。しかし記帳には時間も手間もかかり、税法は頻繁に法改正されるため、特に中小企業では対応するのが非常に大変です。
そこで企業業務を外部の専門家に委託するケースが増えているのです。
税理士事務所での記帳代行の特徴は、税務申告もあわせて依頼できる点です。
アウトソーシング企業は基本的に税務申告は代行できません。法律上、税務申告の代理業務は税理士または税理士法人でなければ行うことができないことになっているからです。
ただし税理士事務所に記帳代行を委託する際は顧問料とは別に追加料金がかかります。本来、企業の経理を代行することを目的とした職業ではないからです。
また、税務申告まであわせて依頼できる分、コストが高くなります。記帳代行とあわせて節税対策などのコンサルティングも依頼したい場合は、専門家である税理士に依頼するメリットはあるでしょう。
5.なぜ今「経理業務のBPO」が注目されているのか

経理の外注について、アウトソーシングやBPO、税理士事務所、経理代行などさまざまな形態があることをご紹介しました。
外注の一つの手段であるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、業務の一部を外部の専門業者に委託し、プロセス全体の設計・運用・改善まで含めて任せるアウトソーシング手法です。単なる作業代行ではなく、業務効率化や標準化、法改正への対応などを包括的に支援できるのが特長です。
近年、企業は業務効率化や改善を求められています。その背景には、一時的ではなく構造的な人手不足、DXの潮流、そしてコンプライアンス意識の高まりなどがあります。
従来の属人的で非効率な経理業務のままでは、時代の変化に対応できず、企業としての競争力や信頼性が低下しかねないのです。
そのため、経理業務を「単に外注する」のではなく、「仕組みごと最適化する」BPOが今、多くの企業に選ばれています。
BPOで経理の業務改善や効率化を本気で進めませんか?
JIS Q 27001:2023(ISO/IEC 27001:2022)

一般人材派遣業:労働大臣許可 派13-01-0526
人材紹介業:労働大臣許可 13-ュ-010435

経済産業省認定番号:第37号‐24020002
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