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「インダストリークラウド」って何? メリットと導入法とは

インダストリークラウド

業務効率化や生産性向上、あるいは顧客満足度向上など、将来の事業維持・拡大のための施策にクラウドサービスの導入は不可欠なものとなりました。しかし数多く登場しているクラウドサービスをどう組み合わせて目的を達成できるのか、その早道を見つけるのは容易ではありません。そこで今、世界中で注目され、導入が進んでいるのが「インダストリークラウド」です。今回はその概要を紹介していきます。

<目次>
各種業界にフィットするクラウドの組合せがインダストリークラウド
従来のクラウドや他の業種別ソリューションとどう違うのか
インダストリークラウドのメリットと賢い導入法

各種業界にフィットするクラウドの組合せが
インダストリークラウド

クラウド化従来、クラウド導入と言えば、例えば「経理・財務業務をクラウド化したい」「生産プロセスをクラウドで管理したい」「顧客対応をクラウドで改善したい」などといった特定目的に対し、会計クラウドやクラウドERP/CRMなどを導入するといったパターンが一般的でした。

 

業務領域の一部をこうしたクラウドサービスで効率化・自動化するのは簡単で効果的でもありますが、必要に応じてクラウドサービスを都度導入していくと、どんどん利用するサービスが増えていき、中小企業でも数十種のクラウドサービスを利用しているケースをよく耳にするようになりました。

クラウドサービスの利用数が増えるに従い、クラウドサービス間の連携を見ることが必要となってきます。
例えば、『マスタデータや取引データの同期』、『特定のサービスの障害により波及する他システムへの影響』、『サービスの重複による過剰コスト』等が挙げられます。

更に、監視対象のシステムが増える度にこれらの管理コストは増えていきます。
これらを防ぐためには予め各システム要件を確認し、場合によってカスタマイズを行う必要がありますが、それ自体、『短期導入・初期コスト低減』というクラウドのメリットを損なう一面があります。

カスタムそこで、近年積極的に展開しているのが「インダストリークラウド」です。これは提供業者側が、自身のもつIaaS(サービスとしてのインフラストラクチャ)/PaaS(サービスとしてのプラットフォーム)や各種の技術の上に、SaaS(サービスとしてのソフトウェア)の中から必要とされるサービスを選定し、業界特有の規制や共通ルール/共通業務プロセスに対応する形にカスタマイズしたものをパッケージ化したもののことです。そのパッケージにはいくつもの機能に分けたサービスカタログがあり、その中から必要なサービスを選んで自由に追加していくイメージです。

従来のクラウドや他の業種別ソリューションとどう違うのか

インダストリークラウドとはベースがパブリッククラウド(不特定多数のユーザーに対し、インターネットを介してサーバーやソフトウエア、アプリケーションを提供するサービスのこと)であり、各種領域にわたるパブリッククラウド相互の接続に重きを置いたものであります。基盤となるサーバーやストレージは柔軟性・拡張性が高く、拡張する場合も縮退あるいは構成変更する場合も迅速・低コストに行え、基盤にのる各種アプリケーションの変更・削除・追加も容易に行えます。

また、大手プラットフォーム業者が提供するサービス監視・管理機能やAI、IoT、アナリティクスをはじめとする先進的サービス、現場主導での「小さな」業務改善までモジュールを追加することで手軽に実現可能になっている場合もあり、継続的な改善やサービス開発を可能にするビジネスプラットフォームとして活用可能なところも、従来の類似ソリューションとは異なる部分と言えるでしょう。

インダストリークラウドのメリットと賢い導入法

インダストリークラウドのメリットとして、例えば次のようなポイントが挙げられます。

環境▪️ 業界特有の法規制/ルールへの対応が容易
米国の医療業界への法規制対応からインダストリークラウドが発展してきた経緯もあり、医療、金融、証券、その他ルール改正への対応が重要な業界において注目されています。また、環境貢献をはじめとする社会的責任を果たすために必要な業務プロセスを実装することも容易です。

アナリティクス▪️ 分析機能が活用可能
インダストリークラウドでは膨大なデータを横串で検索・分析可能にするアナリティクスサービスを容易に追加でき、定型パターンにとどまらない分析を必要に応じ、実行することができます。

テスト お金▪️ 新技術の導入、テストが容易
AI、IoTなどの先端技術を低コストでテストし、導入することが可能です。

 

選択▪️ 新規ビジネス創出の可能性を広げる
業界に共通する課題解決が可能なサービスをインダストリークラウド上で提供することにより、新規ビジネス開拓が可能となります。その際、ユーザー企業がカタログから選ぶように利用できるので、ユーザー側も従来の様な高度な知識を必要としません。

 

インダストリークラウドを活用すれば、従来のSaaSの選定のように、検証済みのサービスを選択でき、カスタマイズを極小化することが可能になります。さらに、多くのサービスを一度に導入する必要なく、既存システムに不足している部分だけをサービスカタログから選んで導入でき、段階的にIT環境をクラウドシフトしていくことが容易になります。その際、自社の競争力の源泉となっている業務プロセスは共通プロセスに置き換えず、メインでないプロセスは共通プロセスを利用したほうが得策です。

またクラウドサービスの監視・管理が一元化できる場合があり、セキュリティやアカウント管理などの日常的に管理負荷がかかる部分もサービスの組み合わせ次第で負荷軽減が可能です。

industry cloudこのように、インダストリークラウド導入によれば主に業界に共通するプロセスを簡単にクラウドシフトしていくことができ、既存システムの更新をしていく際に掛かりがちなコストと期間をかけることなく、徐々にクラウドシフトをしていける可能性が広がります。一度に大量の入替・変更を強いることもなく、課題となっている領域から改善していけるので、IT投資にかかる負担を抑えたい中小企業であっても、導入を検討する価値が大きいです。

インダストリークラウド導入はまず提供ベンダーの選定からになります。各ベンダーの提供サービスを知り、事例などによって自社に適合するかどうか、また自社の既存システムの変更が必要か否か、カスタマイズ、追加開発の必要性はどの程度あるのかなどについて、場合によってはITサービス業者やコンサルのノウハウを借りて、検討されることをお勧めします。

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