いつでも・だれでも・どこでも起こりうる突然の心停止。仲間も自分も救える!AEDの知識と心構え
みなさんはこのマーク、ご存じですか? しかし、AEDを実際使用したことがあったり、救命の場面に遭遇したことがある人は、なかなかいないのではないでしょうか?
心臓突然死(※1)という死因があります。
この死因により、1年間で8万人の方が命を落としています。これは年齢や性別に関係なくいつでも・だれでも・どこでも起こりうることなのです。
今回は、一般的にも普及し認知度が高まっているAEDの、使い方、設置してある場所、初めて知る心構えなどを改めてご紹介できればと思います。
(※1)…突発性の不整脈で心臓が正しく機能せず死んでしまうこと
<目次>
・AEDとは
・AEDの使用は難しい? 一般の方も安心して使用するための心構え
・AEDの普及は“救命”という新たな社会貢献活動
・AEDを備えていなかったことによる後悔は一生アナタの心も傷つけます
AEDとは?
AED(自動体外式除細動器)
Automated External Defibrillator
一般の人が使用できるように設計された自動の除細動器。除細動とは、電気的なショックによって心室細動(※2)を取り除くことです。除細動器は、心停止した患者に電気ショックを与え、蘇生させる医療機器のことであり、心室細動を止める唯一の手段です。
(※2)…心臓の心室が突然震えだし、ポンプ機能が失われる状態。
AEDの使用は難しい?
一般の方も安心して使用するための心構え
目の前で人が倒れている状況に遭遇した場合、現場での迅速な判断が重要になります。実際に人命救助に関わることになり、
「使用方法が分からない…正しく扱えるかが不安…」
「本当にこの状況でAEDを使用していいのか…」
などの、不安や恐怖を感じたり、臆病になる方も多くいると思います。
AEDの使用方法を知っておくことも必要ですが、心構えとして下記のことも大事でしょう。
『AEDは迷わず使え! 一分一秒を迅速に』
厚生労働省の通達には緊急の際の処置方法に関して、このような記載があります。
AEDの使用は、医療行為に該当するものであり、医師でない者が反復継続する意思を持って行えば、基本的には医師法第17条違反となる。しかし、現場に居合わせた一般市民は一般的に反復継続性が認められず、同条違反にはならない。
これは悪意又は重過失がなければ、救命蘇生方法の実施者が罪に問われることはないということです。(※3)一見無責任なのか? と感じるかもしれませんが、使用後の責任を放棄するわけではなく、状況によって一分一秒でも早く電気ショックを行うことが重要です。
実際に講習会を受講していなくてもAEDを使えることも報告されており、訓練を受けたことのない救助者についても、いざという場合のAEDの使用は制限されるべきではないとされています。しかし、質の高い救命処置を行うためにAEDを用いた救命処置訓練が行われることがより望ましいと思われます。
ちなみに筆者はAEDの知識と経験がゼロ…! でした。先日実際にAED講習に参加しましたが、医療機器と重く感じていたAEDを身近に感じることができました。
一度もAEDに触れずに実践状況になる不安感はなくなり、得た知識をいかに混乱の最中で使用していくか…というような冷静さが生まれました。
初めて体験した私でも、AEDの使用は簡単で使いやすい仕様になっているのです。最初に行うことは、すかさず電源を入れることです。あとはAEDの言う通りに動きましょう。傷病者の心停止の確認が不安な際でも、AEDを使用すれば自動で機械が判断してくれます。電気ショックが必要無いときはボタンを押しても電気は流れません。AEDは傷病者を確認してくれる“自動のお医者さん”です。
命が関わっているので、考えなければいけないことなのに、熟考している時間はありません。時間との戦いです。
まずはAEDを持ってきましょう、迷ったら実行。
そして勇気を出して、AEDを使用していきましょう!
(※3)…法律用語としての「悪意」とはある事実について知っている状態。「重過失」とは、ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態。
AEDの普及は“救命”という新たな社会貢献活動
では、AEDはどこにあるのか。
自分自身にAED使用の知識や、実行する勇気を兼ね備えていても、AEDが近くに無ければ意味がありません。また、自分が設置場所を知っていなければいけません。
心停止の多くは自宅で発生するといわれています。しかし、目撃される場合、電気ショックの対象となる傷病者の発見頻度は公共の場の方が高く、電気ショックにより救命される可能性も高いのです。
冒頭でも述べた通り、街中のあらゆるところにAEDは存在しています。
まず、確実に置いてある場所は病院です。しかし、人が倒れている現場に遭遇し、病院が近くにある確率は稀ですので、その他の場所も覚えておくことをおすすめします。
次は駅や学校、公共施設です。こういった施設も病院と同じく、どこにでもたくさんあるわけではないですよね。
一番私達が日常で利用し、目にする建物といえば、コンビニやスーパーになります。近頃はAEDの普及が進み、このような商業施設にも置いてあることがほとんどです。
また、東京や大都市などでは、マンションの1階や会社のビルなどにも配置されています。意外と多くの人が気づいていませんが、あなたの住んでいるマンションや、自分の勤めている会社のビルの中に設置されているかもしれません。
人が倒れてからでは遅いので、この記事を読んだ後や、明日の朝出社した際に確認しておくといいでしょう。また、このようなAEDマップをWebサイトで公開して、AEDの設置場所を検索できるサイトもあります。地図上で見てはじめて、「ここにもあったのか!」と気づくこともあるでしょう。場所を確認しておくだけでも、安心感は違うと思いますし、職場や家族の命を救える可能性が高まるのです。
<補足>
2012年5月に、事業継続における国際規格(事業継続マネジメントシステムISO22301)が発行されました。これは、企業が不測の事態における対応計画を策定しているか、継続的な改善を行っているか、などの要求項目が定められています。
『AEDの設置基準は、心肺停止者を発見してから5分以内に除細動が行える体制(往復2分以内の距離=直線距離150m以内)が望ましい』
その中に予防対策として、上記のようなAEDの最適配置・安全確認と点検が定義づけられています。
AEDに設置義務はありません。しかし、職場における安全配慮義務はあります。
労働契約法第5条では、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」として、使用者が労働者に対して負うべき労働契約上の付随義務を定めています。これを「安全配慮義務」と呼びます。使用者がこの義務を怠り、労働者に損害が発生した場合、使用者は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。大切な従業員の命を守るという意味では、AEDの設置は安全配慮義務にも関係してきます。
会社や工場、作業所にAEDを設置することにより、一人でも多くの命を救えるはずです。
AEDを備えていなかったことによる後悔は一生アナタの心も傷つけます!
いざという時に、すぐに駆け付け正しく一次救命処置を施すために、実技を含めた講習を定期的に受講することをオススメしています。AEDは誰にでも使える機械ですが、質の高い心肺蘇生法と、正しい使用手順を学ぶことにより、講習会を受けた場合と受けない場合では、知識と心構えが全く違ってくるのです。また、AEDを配置するだけではなく、配置されたAEDの維持管理、AEDの種類の知識、教育と訓練によってAEDを使える人材を増やすことも重要であり、今後の課題とも言えるでしょう。
いつでも・だれでも・どこでも、心臓突然死は訪れる可能性があります。もしもの時、AEDを備えていなかったことによる後悔は一生アナタの心も傷つけます。自分自身、自分の大事な家族、仲間、従業員の命を死の危険から少しでも遠ざけ守ることができ、あなたの勇気とAEDが命を救うのです。
前述での、配置されたAEDの維持管理やAEDの種類の知識の詳細については、当社が厳選した4つのAEDを紹介しておりますので、是非ご覧ください。
AEDは気づかないうちに普及し、街中に溶け込んでいます。AEDを探してみて、もし自分の職場や日常過ごす場所の近くになかった場合、会社のビルに1台でもあれば心強いと思いませんか?
コウシンでは、高度管理医療機器等販売業/貸与業許可を取得し、AEDの提供が可能になりました。また、これを取得したことにより講習会の実施も可能になりました。AEDは全て同じではなく、種類や個々の特徴が多岐にわたります。お求めになる方の状況や、環境に合ったAEDが見つかるはずです! AEDの提供や講習会なども、我々オフィスコンシェルジェにお任せください。
<おさらい>
・AEDは迷わず使用。時間との戦い、一分一秒を迅速に!
・質の高い救命処置を行うためにAEDを用いた救命処置訓練を受講しましょう。
・AEDを職場に設置し、設置場所を把握することが重要。