短期で退職する若手社員は、仕事に何を望むのか
4月に新入社員が入社された企業様も多いと思います。
採用や人事を担当されている多くの方は、初任研修や入社後の面談などでお忙しくされている時期でしょう。
特に多くの企業様が注力する新卒採用では、内定段階から始まるフォロー、入社後の手厚い研修、年次・年齢の近い先輩社員がフォローに入るメンター制度、高め傾向の初任給、と入社から会社に定着するまでのサポート体制や待遇は万全に見えます。
それでも、それだけの体制を整えても、短期で辞めてしまう若手社員は減りません。
若手の定着には多くの企業様がお悩みのことと思います。
実際、今年の4月入社の社員が5月時点で複数名辞めてしまったというお話も伺いました。
そこで今回は、「新卒・若手社員の定着」をテーマに、退職する若手社員が仕事に求めているものについて考えてみたいと思います。
若手は何を思って早期離職を決めるのか
新卒の社員や若い社員が新たに入社したとき、皆さんは何を思うでしょうか。
多くの人事担当者は「しっかり経験を積ませてじっくり育てていこう」と考えるのではないでしょうか。
これまでは、数年かけて経験を積ませ、その中で実績を残しながら即戦力になっていく、というのが一般的だったと思います。私自身もその経験があり、長年、これが当たり前の考え方として受け入れられていました。
しかし、時代の変化とともに、新卒や若手社員の仕事に対する意識も変わってきていると感じます。特に、自身の評価や成果に対する意識の変化は大きく、早期から即戦力として扱われたいという思いを強く感じます。
現代はSNSなどを通じて、多くの情報を手に入れられるようになりました。
その中には、若くして成功した人の話や、短期間で結果を出すことの価値というメッセージが溢れています。
これらの情報に触れた若い世代の一部は、自分たちも同じようにできるはずだという希望を抱くのかもしれません。
インターネットを通じてさまざまな手段で収益を出すことが可能になった今の世代の新卒・若手は、「自分がやりたいことができない、自分の描くイメージを実現できないなら、その職場に留まる意味はない」という視点を持っているように思えます。
これは個人の選択としては未来志向的でポジティブな方向転換なのかもしれませんが、企業側からすると、人材の定着という視点から見て大きな課題となります。
若手社員に伝えたい経験を積む重要性
私個人としては、新卒社員や若手社員に自己実現を重視する気持ちがあることもわかるのですが、長く経験を積むことの大切さを見失ってほしくないと思っています。
長年仕事をしてきて感じることは、仕事の成功には辛抱して積み上げてきたものが生きているということです。
数年、十数年、数十年に渡る積み重ねが、深い経験とスキルをもたらし、対処できないような問題に遭遇したときには、それが糧となるのだと思います。
しかし、これは時間をかけて学んできた者だけが得られる認識です。
新卒や若手にとっては、なかなか理解しきれない部分もあるでしょうし、さまざまな情報が豊富にある現代だからこそ、受け入れづらい部分もあるのではないかと思います。
その気持ちを理解して「結果を急ぐな」と否定するのではなく、「経験を積むことで得られるもの」を繰り返し伝え、「結果を出すためにはどのように経験を積んでいくべきか」を共有することが必要なのではないでしょうか。
自己実現と経験の両立が求められる若手社員の定着
新卒や若手社員の定着に関して、人事担当者の方々のお悩みは尽きないものと思います。
弊社でも新卒の社員を採用しており、その様子を見ていると、最近の若手入社者に対するサポートが大きく進化していることに感心します。
時代の変化により、これまでに比べて、より充実した環境で新入社員として働けることを羨ましく思うこともあります。
しかし、サポート体制や給与だけでなく、若い世代の意識も変化しているため、一律の育成や評価方法に固執するのではなく、個々の社員の個性や能力を尊重し、自己実現と経験の積み重ねを両立させるような育成方法が求められているのだと思います。
この課題は容易なものではありませんが、試行錯誤を重ねながら取り組まなければなりません。
その中で、ささやかながらも経験の重要性を伝えていきたいというのが今の私の思いです。
押し付けることなく、若い社員たちが将来後悔しないような選択をするために、経験の意義を少しでも伝えていけたらと思います。
from フミちゃん
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
・マネージャーとして事業部を統括
・面接したスタッフは延べ10,000人以上
・年齢:30歳プラス少々