女性の働き方におもうこと
最近、女性の働き方について考える機会が増えました。
きっかけのひとつは、社会保険の適用範囲が、ここ数年で大きく広がっていることです。
平成28年には社員数501人以上が社会保険の適用対象企業だったものが、令和4年には社員数101人以上になり、そして来年令和6年には社員数51人以上の企業様まで広がります。
適用対象企業で週20時間以上働く労働者は社会保険への加入が必要です。新たに対象になる企業で、家計の足しにするため短時間だけ働いている人にとって、社会保険への加入により収入が減ることも考えられます。その多くは子育てをしている女性でしょう。
女性にもっと働いてほしいという政府の意向は感じるものの、私個人の意見は「逆に女性が働きづらくなっているのでは…?」というものです。
そこで今回は、女性の働き方をテーマに、子育てと仕事の両立について考えてみたいと思います。
社会保障を手厚くというけれど…
社会保険適用範囲の拡大は、多様化した働き方に合わせて社会保障を手厚くするためと聞きますが、本当にそうなのだろうかと私は疑ってしまっています。
特に、家計の足しにするために、子育てと両立しながら短時間のパートやアルバイトを希望する女性は、社会保険加入以外にも「働き損」となってしまう制度があります。それが「103万円の壁」や「130万円の壁」とも言われる、パートナーの扶養内で働くことができる限界の収入額です。
社会保険に加入すると、社会保険料の徴収額分手取りが減少しますので、それを補うためには収入を増やさなければなりません。ですが、収入を増やそうにも、今度は扶養の枠が現れ…という具合に、「ちょうどよく働く」ということが難しくなっているように見えます。
こういうアンバランスさを見ると、ただ税金収入を増やしたいだけでは…?と正直思ってしまいます。これを機に政府は、短時間勤務の女性のフルタイム就労への転換を推進したいのかもしれませんが、それが可能な環境は整っているのかも疑問があります。
働きたい女性、働いてほしい企業、でも働けない環境
少し前に、働きたいお母さんの「学童落ちた」という内容の投稿が話題になっていましたが、弊社の社員も学童保育の抽選に落ちてしまいました。
学童保育に落ちてしまうと、親御さんのどちらかはフルタイム勤務を諦めるしかないのが実情です。というのも、保育園は親御さんが就労している前提があるので、登園時間も帰りのお迎え時間も割と柔軟に対応してくれます。
しかし、小学校に上がるとそうはいきません。
小学校の授業は15時ごろには終わることが多いため、親の仕事が終わる時間まで預かってくれるところが必要です。その選択肢の代表的なものが学童保育ですが、弊社の社員のように、希望しても入れるとは限りません。
2016年ごろにも「保育園落ちた」という言葉が大々的に取り上げられ、保育園に入れない待機児童問題が話題になりましたが、その世代が小学校入学を迎え、再び壁にぶつかっているのかなと思わされます。
学童保育に落選してしまった弊社の社員は、今までとても頑張ってくれていたのですが、この件を機に退職することになってしまいました。
女性が子育てと仕事を両立するために
令和の時代になっても、子育てとバランスをとって働こうとすることが損になるような制度や、学童保育に預けられず退職してしまうような環境が続いていることに何とも言えない気持ちになります。
どんなに政府がフルタイム勤務を後押ししようとも、子どもとの時間を優先したい女性がいなくなることはないでしょう。女性の活躍を後押ししたいなら、働き損になるような制度をつくるのではなく、柔軟に働き方を選べるような形にしてほしいのが正直な気持ちです。
子育て支援として出産手当金の増額や児童手当の所得制限解除も必要なことだと思いますが、個人的には、手当関係よりも先に仕事と子育てを両立できる環境整備が必要ではないかと思います。
特に幼稚園生から小学校低学年の年頃の子どもを安心して任せられる環境が整えば、小学校入学を境に退職してしまう女性も減るでしょうし、また、フルタイムで働こうという女性も増えるのではないでしょうか。
企業も産休や育休の整備、企業内保育園などの取り組みを進めていますが、学校区が居住地と紐づく小学生を見守るには、企業の努力よりも居住地の行政の力が必要です。
一地域だけの問題でもないですので、政府が主導して、地域行政がそういったサポート体制の充実を頑張るような社会にならないものかと思います。
from フミちゃん
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
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