派遣スタッフのメンタルヘルスを考える
今や人事担当者や労務担当者が遭遇する問題の代表格とも言える“メンタルヘルス”。
採用選考の適性検査では鬱傾向などの精神状態が示されるようになってきていますし、気にされたことがないという企業様は少ないでしょう。
実は派遣スタッフについてもメンタルヘルスが話題に上がることが増えています。
正規雇用でもそうですが、派遣スタッフとしての受け入れの場合も、経歴にメンタルヘルス由来の空白期間があると、派遣先は大きく減少するのが現実です。
しかし人手不足が確実となっている現在、精神的な不調を抱える人材との向き合い方を考え直すときなのではないでしょうか。
今回は、「派遣スタッフのメンタルヘルス」について、私が持つ問題意識と、今後こうしていけたらいいなという展望をお伝えしたいと思います。
働き盛りの人材はメンタルバランスを崩さない?
『40代の既婚男性』
この言葉からどのようなビジネスマンを想像しますか。
少なくともメンタルヘルス由来で就業に困難を抱えている方は思い浮かばないでしょう。
実は最近、この属性の方々が立て続けにメンタルヘルスを原因として、派遣契約が途中終了となる事態が起こりました。
いずれの方も、仕事に問題はなく、就業開始前から調子を崩していたというわけでもありません。
大手企業で正社員勤務経験があったり、バリバリの営業職としての実績があったり、それなりのスキルがあり、評価されて業務を任されるタイプの方々でした。
そういう方々が何かの拍子に派遣社員になると、家族からのプレッシャーや派遣社員としての自分、派遣先での評価などの中で悩み、苦しくなってしまうことがあるようです。
個人的な感覚ですが、この方達のように、働き盛りの年代でメンタルヘルスを悪くしての離脱が年々増えているように感じます。
派遣スタッフのメンタルヘルス問題
派遣スタッフというのは、本来、スキルを提供する仕事です。
そのため、スタッフに説明がつかない経歴上の空白期間でもない限り、メンタルヘルスが気にされることはありませんでした。
同様に、こちらから企業様に、問題のないスタッフの精神的な状態をお伝えするようなことも行なっていませんでした。
この在り方について、「今後もそのまま続けていけば良いとは思えない」というのが私の考えです。
これから先、派遣スタッフの平均年齢は上がっていく可能性が高いと思われます。
若い世代は企業様からの引く手も多く、加えてフリーランスのような働き方が選べる時代になっています。
どんなチャレンジでもできる年代だからこそ、派遣スタッフという選択肢が選ばれにくくなっているのです。
そうなると、派遣スタッフの高齢化が進み、メンタルの調子を崩すスタッフも今より増える可能性が高いでしょう。
そうなった時に、メンタルヘルスを理由に、本当であれば働けるのに選ばれない人が出るのはもったいないと思います。
メンタルヘルス問題を抱えていても活かせる道を考える
正直にいうと、私は、誰もが皆、何がしかのストレスを抱えていると思うのです。
そのストレス原因が仕事以外の私生活や所謂更年期のような体調由来のものでも、メンタルの調子を崩す可能性は0ではありません。
だからこそ「メンタルヘルスを崩している人材はダメ」と一律に切り捨てるのではなく、誰でもメンタルの調子を踏まえて仕事を割り振れる方が、メリットがあるように感じます。
そのために派遣スタッフについても、企業様にご紹介する前に精神状態や思考の傾向を測るようなテストを実施し、その結果を示すことが必要だと考えています。
そしてメンタルの調子を崩している人でも、どうすれば上手く力を発揮してもらえるのかを考え、企業様に納得感を持って提案できるようにしたいのです。
実際、中年を過ぎてメンタルの調子を崩すほど悩むタイプには、根が真面目で働き者な人が多いため、活用の仕方次第では、良い方向に変わる可能性も高いと思います。
誤解を恐れずにいうなら、今は簡単に鬱や適応障害と診断されるような時代になってきています。
それだけストレスが多い時代ともいえますが、それでも大半の人は働かなければなりません。
人材を上手く活用してこその派遣業でありますし、メンタルの調子を崩しそうな人、崩してしまっている人、回復しつつある人、そういった人たちにも力を発揮してもらえるよう企業様との連携を深めていけたらと思っています。
from フミちゃん
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
・マネージャーとして事業部を統括
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