変わるマネジメントの形、上司代行に見る未来への懸け橋
採用活動に関わる皆様、日々の業務お疲れ様です。
株式会社庚伸から、今月の人事労務トピックをお届けいたします。
これまでにも代行業の話題をいくつか出してきましたが、最近「上司代行」というサービスについてのニュース記事を目にしました。すっかり一般的になってしまった「退職代行」には、なんだかなと懐疑的な私ですが、「上司代行」は非常に画期的なサービスなのではないかと思っています。
私自身、「上司」という立場に立ち続けてきて、最近は上司としての役割を果たすことに難しさを感じる状況が増えてきています。加えて、今の若者たちには上司、いわゆる管理職という立場に対して「忙しい」「辛い」といったネガティブなイメージが強いようです。そのためか、若手社員が管理職になりたがらないという話題も頻繁に見聞きします。
こういった状況を打開するのに上司代行はひとつの選択肢になるのでは、という期待を抱かずにはいられません。
そこで今回は、特に中小企業におけるマネジメントの課題を考える中で、上司代行という新しいサービスがどのように役立つか考えてみたいと思います。
プレイングマネージャーが抱える葛藤
上司の役割はマネジメント、その中でも特に部下の育成が重要ではないでしょうか。
現在、私の部署には新卒入社の社員が2名います。
人材ビジネス業は厳しい環境であり人材の定着に難しさのある業種です。
そんな中で期待を持って入社してきた新卒の社員たちが充実して楽しく働けているのか、モチベーションを保てているのだろうかと考えてしまうことがあります。
新卒入社の社員たちには、今の段階では結果に結びついたという経験、成功体験を積んでもらい、売上の作り方を伝える時期だと思っています。
しかし、プレイングマネージャーという立場上、自身の売上目標とそれに対する責任もあり、私自身不在がちになることもあります。相談にのれているのか、部下のケアがちゃんとできているのだろうか、今のままでいいのだろうかと常に気がかりです。
社員数の多い組織立った企業であればもっとできることがあるかと思いますが、人員の限られた中小規模の企業であれば私のような働き方のプレイングマネージャーは普通の存在ではないでしょうか。
それでも「上司」という役割を適切に果たすことは、企業の成長には不可欠なのだと感じます。
私は20数年マネジメントに携わってきましたが、売上を優先してきた結果、人材の裾野を広げることはできませんでした。
今後残されたキャリアを見据えたとしても、人を育てるという役割については外部の人を受け入れることも一考の価値があると感じています。
マネジメントから考える新しい風の必要性
かつてマネジメントはキャリア上のステイタスでしたし、私自身もマネジメント経験の先にある景色を目指してキャリアを積んできました。
それでも、マネジメントは精神面での負荷が大きい仕事だと感じます。
部下の売上達成をどうしよう、どうやって一人前に育成していこうと悩み、ついてこられずに退職してしまう人材をみて辛くなることもありました。その上に自分自身の目標ものってくるため、組織の先頭に立って旗振りが本当にできているのかと問われると自信がありません。
最近では、部下の成長のために指導をしたいと思っても、発言がパワハラに当たらないか、コミュニケーションの取り方がセクハラにならないかなど、自分の振る舞いを立ち止まって考えなければならない状況も増えています。
「上司」の立場に立つ人の中には過去のやり方で成長してきた人たちもおり、そういう人たちは過去のやり方で部下を育成することが多いでしょう。しかし、価値観が変わるのに伴って、部下のマネジメントや育成、上司の在り方にも新しい考え方が登場してきているはずです。
次世代リーダー候補たちへの橋渡しとしての上司代行
外部人材のメリットは、人や会社に対して異なる見方を持ち社員との間に線引きができた人材が入ってくることです。
自社とは違う企業でマネジメントを経験した存在に「上司」という役割を専門的に果たしてもらうことは、長期的には自社のリーダー候補を育てることにつながります。自社の中にはない視点でリーダーとしての心構えや売上をあげる仕組みづくりなどの指導が期待でき、自社のやり方と外部の新しい考え方を取り入れることにもつながるでしょう。
人手不足の解消が難しい現状では、従業員数を増やして対応することを目指すより、少人数で専門化を進め、足りない部分は外部から補っていくことが必要なのだと思います。
もちろん、ずっとその外部人材に頼るというわけではなく、現状を打開し次につなげるための一手として、メリットは大きいのではないでしょうか。
「上司代行」もそのひとつであり、多くのプレイングマネージャーが抱えていると思われる「上司の役割を果たせていない」という課題を受け入れ、次の世代につなぐための橋渡しとして、ひとつの有力な選択肢になるのではと期待しています。
from フミちゃん
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
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