企業様と求職者の間に立って思うこと
皆様が感じる「仕事の面白さ」はどんなことでしょうか。人材に関わる仕事もさまざまな面白さがありますが、私の場合、企業様と派遣スタッフ間の調整に特に面白さとやりがいを感じます。派遣スタッフの受け入れがあまりない企業の方には、派遣会社はそんなことをしてくれるの?と思われるかもしれません。
そこで今回は、「派遣元企業の役割」をテーマに、派遣スタッフへの指摘を受けたときの対応についてお伝えします。
労働者派遣を行っていると、企業様から派遣スタッフへの指摘が少なからず発生します。期待していた働きぶりと違うことは、正社員が相手でも派遣スタッフが相手でも起こりうることです。ですがそれを、本人にどう伝えるかという点で違いがあります。派遣スタッフの雇用元は弊社のような派遣元会社です。そのため派遣スタッフへの指摘には、派遣元会社が何らかの対応をすることになります。これを無視して、派遣先企業様から直接指摘を行うと思わぬトラブルになりかねません。実際、派遣先企業の現場社員から直接注意や指摘を受けた派遣スタッフが労働基準監督署に駆け込んだという話や、裁判沙汰になってしまったという話を聞いたことがあります。
条件に合った派遣スタッフを受け入れているはずなのに、
どうして問題が起こるのか
弊社に寄せられる派遣スタッフへの指摘の多くは、スタッフのスキル不足。派遣開始前に聞いていた業務レベルと違うというものです。弊社が紹介する派遣スタッフは、事前にスキルチェックを受けており、派遣先の人事担当者が提示するスキル感に合う方をご提案しています。ですが就業が始まってから判明することがあるのも事実です。
たとえば、派遣先担当者から「入力スピードの速いスタッフがほしい」と要望され、派遣スタッフ内で相対的にタイピングスピードの速い方を紹介し、すぐに就業開始となったことがありました。ところがいざ就業が始まると、派遣先担当者から、「現場から『聞いていたスキルレベルと違う、入力が遅い』と言われている」との苦情が入ったのです。詳細を確認すると、他のスタッフと比較して処理件数が少ないという状況でした。弊社としては、派遣スタッフの入力スピードについては確認しているため、何か他に入力のボトルネックがあるのではないかと考え、スタッフ側にも話を聞きました。すると、業務の全体を理解していなければスムーズに入力ができないような複雑な内容の入力であり、就業開始してすぐに安定したスピードで入力を行うことは難しいことが判明したのです。このように派遣スタッフが行う業務について、人事担当者と現場社員の認識に差があると、トラブルの原因になりかねません。ですが人事の方が、現場の状況や業務の内容を正確に把握することは難しいことです。
だからこそ、私のような派遣元担当者が間に入り、現場の指摘事項を具体化していくことに意味があります。
誰と比較してどのくらい遅いのか、一定時間内にどのくらいの処理数が必要なのか。そしてスタッフとも話をし、何が原因で、どうすれば改善できるのかを一緒に探っていきます。そうすることで、スタッフ自身のモチベーションを下げることなく、指摘事項に対応でき、さらに納得感のある解決策につなげることが可能です。上記の例では、派遣先企業様に業務フローの全体を学ぶ機会を設けることを提案し、実際、スタッフ自身も熱心に習得に励んだことから、全体像の把握が進むに伴って入力スピードが改善、その後長期継続となりました。
派遣元企業として派遣先企業様と
派遣スタッフの調整で意識していること
派遣先企業様から派遣スタッフへの指摘を受けたとき、派遣元企業の多くはスタッフの交代を提案します。
ですが私は簡単に人を入れ替えるのではなく、指摘の原因を追究し解決につなげることが大切だと考えています。指摘や苦情は悪いことではありません。きちんと向き合い、改善につなげることができれば、弊社、スタッフ、派遣先企業様の三方に良い結果をもたらすからです。指摘から改善しあえる関係は長続きする関係です。そういった環境の派遣スタッフはモチベーションも高く、より良い成果を出す傾向があります。
派遣先企業様の要望を聞くだけが派遣元企業の仕事ではありません。企業様もスタッフもそれぞれ考えがあり、そのすれ違いやギャップを上手く調整することができれば、長期的な就労に加え、プラスアルファのパフォーマンスにつながります。難しいこともありますが、そういった成果につながる調整ができるような派遣元企業として、また担当者として、努力と工夫を続けていきたいと思っています。
from フミちゃん
ゼネラルマネージャーの西田二三代です。業界30年以上の知見から、企業の人事担当者様に離職率の低減、面接の印象を良くするなどの役立つ情報をブログという形でお伝えします。
・1000社以上の企業にスタッフを紹介
・人材業界で30年以上のキャリア
・マネージャーとして事業部を統括
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・年齢:30歳プラス少々